【官能小説】心の距離、体の距離【声のセックス 第1話】


★官能小説家・道中ヘルベチカさんによる連載がスタート!

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「ミカ……好きだよ……」

「シンジ……うれしい……」

「キス……しよ……」

「うんっ……はむっ……」

「ん……ちゅっ……んふっ……」

声と吐息が、真っ暗な、ミカの部屋に広がる。服を脱いで、下着姿なのに、体が火照っているのがわかる。

「ん……ミカ、舌、入れるよ……?」

「いいよ……あふっ……じゅる……ん……」

唾液の音が――互いをむさぼるように、求め合う愛が、響く。

「ミカ……胸、やわらかい……」

「やだ……触っちゃ、恥ずかし……んっ……」

「感じてる……の……?ミカ、きもちいい……?」

「きもち……いいよ……はぁっ……」

「ミカ……もっと、触りたい……」

「触って……シンジ、もっと触って……!」

矛盾したセリフを口にするくらい、冷静さを失っている。
シンジ、と、その名を口にするたび、胸は高鳴る。
こんな感覚、とうに忘れてしまったと思っていた。

夫との初めてを思い出す。
どうすればいいかわからず、夫が促すままに任せていた、あの夜のこと。
今はもう処女なんかじゃないのに、このシンジという男の声を聞きながら、再び純白を汚されているような感覚に陥っている。

こんな日がこようとは、思っていなかった。
一生、夫だけと関係していくのだと。
他の男がどんなものかを知らないまま、夫と二人で年老いて、やがて死ぬのだと思った。

後ろめたい気持ちは、ある。
こんなことを知ったら、夫は怒るだろうか、嘆き悲しむだろうか。
こんな姿、見せられない。
もしいま、仕事から帰ってきて、こっそり部屋の中を覗かれていたらどうしよう。

ただそんな恐怖さえ、徐々に興奮材料に変わりつつある。
初めてのスリリングな感覚を手放せない。
もっとシンジの、好きなようにされたい。
めちゃくちゃにされたい。

「ミカ……ブラ、外してもいい……?」

「……いいよ」

背中に手が回り、プチ、と音を立て、ブラのホックが外れる。
ストラップも右手からはずれ、左手から外れる。
胸の上に、ただかぶさっただけの状態になっている。

「床に置くよ……」

「うん……」

隠されていた二つの果実が、露わになる。
鼓動が、いっそう大きくなった気がする。

「ミカ、きれい……」

「や……見ないで……」

「だめだよ、ミカ……もう、俺も裸なんだよ……ミカも見てるでしょ、俺の、大きくなってるの……」

「う、うん……大きい……」

「パンツも、おろすよ……」

両の手が、パンツの端をつかみ、ぐい、と下に落とす。
ミカの身体を守っていた、ささやかな二つの防具は、両方とも床の上で、ただの布と化す。

「ミカ……下のほう、触るよ……」

「あ……ああっ……」

指の先が、ミカの一番敏感なところに触れる。
自分でも驚くほど大きな声が、口から漏れる。

「あ……すごい……もう、コリってしてる……」

「や……恥ずかしいこと……言わないで……」

「中にも、指、入れるよ……」

「や……やあぁ……」

犯されてはいけない場所が、犯されている。
夫への感情は、もはや消えている。
シンジで、満たされている。

もっと、満たしてほしい。
脳味噌も、心も、子宮の奥まで、シンジでいっぱいにしてほしい。

「ミカ、すごい濡れてる……もう、我慢できない。俺の、大きいの、入れるよ……」

「あ……きて……シンジ……あっ……」

「あ、ああああ……っ、ミカ……入って、る……入ってるよ、ミカ……」

「あっ……あうぅうううううっ!シンジ……つながって、る……」

ミカの子宮を、擦る。
ぴちゃ、ぴちゃと音が鳴る。
ミカの中から、次から次に蜜があふれてくる。

「あ、ああっ……シンジ……シンジッ……」

「ああっ、ミカ……きもち、いい……?ミカ……っ」

「きもち、いいよっ……あっ、ああっ……好き、好きっ……」

「俺もだよ、ミカ……好き……あぁっ……」

単純な2文字。
なのに、こんなにも嬉しいなんて。
夫には、もう長いこと言われていない。
長いこと、していない。

もう、一生できないんじゃないかとさえ思っていた男女の行為を、喜びとともに受け入れている自分。
シンジの声が、夫じゃない男の声が、愛しくてしょうがない。

「ミカ……もう……いきそ……」

「……きてっ、シンジ、シンジぃ……っ!」

「あ、でる……でるっ……!」

ぐっ、と、ミカの一番奥に、擦れていたものの先が届く。
ブルッ、ブルッと、ミカの下半身が痙攣を起こす。
シンジと同時に、自分も果ててしまったのだと悟る。

はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……互いの呼吸の音だけになる。
汗が、ミカの額から一滴こぼれる。

「ミカ……好き……ちゅっ」

キスの音が聞こえる。
ミカも唇を重ねる。
――――――スマホの通話口に。

子宮に入れていた、自分の指も、ゆっくり出す。
自分の蜜でベトベトのそれを、ティッシュで拭く。

ベッドの上、裸の自分が、ただ一人でいる。
枕元、スピーカーモードにしたスマホを置いて。
ふと我に返れば、なんて間抜けな構図だろうと思う。

「ミカ……気持ちよかった……好き」

スピーカーから相手の声が聞こえる。
シンジは、まだ幻想に酔っているのだろうか。
それとも、現実に戻ろうとしているミカを、つなぎ止めようとしてくれているのだろうか。

「ミカ、また今度、しよう……?」

「うん……シンジ。また、待ってる……」

これも優しさ。
そう思うことにする。
実際はまったく交わっていないこの男と、福岡と東京、体は離れた場所にあっても、言葉と言葉でつながることができた。
そんな奇跡的なことができたことは、喜ぶべきことだと。

ただ、夫には言えない。
彼に黙って、妻がこんな卑しい遊びに興じているなんて。
会ったこともない男と、顔すら知らない男と、ミカはヴァーチャルな不倫をしている。

第2話へつづく

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ABOUTこの記事をかいた人

道中ヘルベチカ

都内で働くフリーライター・官能小説家。プロフィールのアイコンは、イラストレーターの月白涼(つきしろすずむ)作。ドキドキしてエッチな気分になれるだけでなく、最後まで読んで「まさかこんな展開になるとは! 面白かった!」と言ってもらえるような作品を仕上げていきます。どうぞ応援よろしくお願いします。